代表挨拶

元木昌彦(もとき・まさひこ)

 おかげさまでインターネット報道協会も設立16周年を迎えました。
 インターネットを利用した報道コンテンツの品質向上とジャーナリズムの確立を目指して、様々な試行錯誤を重ね来ましたが、残念ながらまだ道半ばという感は否めません。
 しかし、既存の新聞、テレビに対する「不信感」もかつてなかったほどの高まりをみせています。
さらにAIを使って多くのフェイクニュースが生み出され、拡散されるようになってきて、かつてなかったほど情報の信頼性が問われています。
現在、メディア携わる人たちにとって、事実を見極める「眼」が今ほど求められる時代はないように思います。
 そこで協会は16周年記念事業として「報道とは何か」という基本の基であるテーマをたて、各界の有識者の方々にインタビューする企画を立ち上げました。
 著名な英国のジャーナリスト、ヘンリー・ウイッカム・スティードは1934年に上梓した『理想の新聞』(みすず書房)で、こう書いています。
「新聞が臆病にならないで、政府のいろいろな専制的行動を拒否する勇気を持ち、新聞が忠誠を誓う対象はあくまでも一般大衆だけである、という精神を堅持することを望みたい」
 時はまさにファシズムが台頭してきた時代でした。しかし、90年前のスティードが今生きていれば、同じことを現代のジャーナリズムに携わる人たちに問うはずです。
 報道する側にとって素朴だけど最も大事なこと。私たちはそう考え、5人の人たちと対話重ねてきました。
 拙いインタビューに答えていただいた、林香里東京大学副学長、週刊文春の竹田聖編集長、メディア史研究家で上智大学教授の佐藤卓己さん、経済広報センターの佐桑徹さん、作家の江上剛さんには、心から感謝申し上げます。

2024年6月1日
インターネット報道協会代表理事 元木昌彦